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当クリニックは、歯の保存を専門としていることから日々の診療は、
・根管治療
・ダイレクトボンディング
が全体の7~8割を占めています。
なので、今日はダイレクトボンディングのお話。
ダイレクトボンディングの治療は、簡単に言えばむし歯で欠損したところをプラスチックの詰め物で治したり、部分的な銀歯をプラスチックの詰め物で治す治療のことを言います。
保険の詰め物とどう違うの?という質問を受けることもありますが、今回はそこは割愛させていただきますが、簡単に言えば・・・
『似て非なるもの』
と思っていただければと思います。
さて、私がダイレクトボンディングという治療に取り組んで今年で18年になりますが、この治療も進化してきていると共に、私たちが求める物もより高めへの追求となってきました。そんな中で、ここ数年私の中で引っかかることがちょっと・・・。
私は良く患者さんの天然の歯を観察するのですが、歯にはいろいろな表情があります。歯の山や溝、その溝も深いが故の影だったり、患者さんのお口の状況によっては着色していたり、少しむし歯になりかかっていたりと。
私は治療を行う時に
1.病気としての症状が改善すること
2.長持ちするように適合に徹底的にこだわること
3.ただ白くするだけではなく、どこを治したから分からないように(天然の歯と見間違うように)することで、患者さんのその後の人生が幸福になるように付加価値を付ける事
を考えながら治療を行っています。
1、2に関しては多くの歯医者さんが行っていることだとは思いますが、3番目はなかなか難しい永遠の課題かもしれません。
さて、奥歯のダイレクトボンディングに話を戻すと、3を求めようと歯医者も知恵を付けてきました。咬むところの溝の色を濃くすること(着色)することで、歯の形をとらえた時に奥行きが出て立体感が強調されることすなわち、天然の歯のように見えるが分かったきました。なので、私がダイレクトボンディングを始めた当初からこの方法に何も疑問を持たずに患者さんに提供してきました。
そんなある時、患者さんからこんな言葉をいただきました。
「銀歯が白くなって嬉しいんだけど、溝の茶色いところは取れなかったの?」と・・・。
私としては着色が多い方だったので、その状況に合わせた色を入れて馴染ませたつもりだったのですが、患者さんの気持ちとしては折角だからキレイに治したいという思いだったのです。
またある患者さんには、溝の着色を入れないで完了したところ
「白くはなったけど・・・」
多分、推察するに溝の色がないことから立体感があまりなく、歯のようには見えないと思ったのだろうと思います。
このように、溝の色のちょっとの塩梅ですが、患者さんの思いは変わってきて、人生が幸福になるような付加価値まで付けられるかどうかが分かれます。
私の最近のやり方はコチラ
患者さん皆さんがお口を開けて鏡を見た時に自然と見える塩梅に仕上げるようにしています(※今回の患者さんの3ヶ所はセラミックのかぶせ物です)。この状態でもマイクロスコープ(治療用顕微鏡)で見れば、かなり立体的に見えます。もちろん、もっと濃いほうがよろしい方にはそのように、薄いほうが良い方にもそのように調整することは可能です。
1つ言えることは、「歯医者のエゴの押し売りで治療はしない」という事です。
病気が治るはもちろんのことで、人生が幸福になるような付加価値まで共有出来ればと思っています。
さて、今回は専門的な内容もあり難しかったかもしれません。申し訳ございません。少しでも皆様にご満足いただけるような治療が出来ればと今後も精進していきたいと思います。
院長 佐藤